子どもを自立させるための7秘訣

「私たちは教育を通じて子どもたちに自立の道を歩いてほしい。自立した子どもは自分の意志で、自分の力で人生を歩いていけるんです」

 

自立した子どもに育てるための7秘訣をお教えしましょう。

 

毎年入学の時期になると、必ずといっていいほど「ママっ子」とでもいうのでしょうか、異常なほど母親に依存した子どもを見かけます。

 

外に遊びに行って帰って来た時には着ていた服が汗でびしょびしょになっていたとします。

 

これは幼稚園の話なのですが、たまたまその場にその子の母親も居合わせていたんです。

 

幼稚園の先生はその子に自分で新しい服に着替えるように指示をしました。

 

先生は傍で見守るだけです。もちろんこれくらいのことで手助けをしたりしません。なぜなら、一回手伝ってしまうと、子どもたちはそれに味をしめてしまいます。一度手伝ってしまうと、もう自分で着替えようとはしません。

 

なのにその子の母親はすぐに手伝ってしまったんです。子どもに新しい服を着せてあげて、子どもはただ突っ立っているだけ。

 

幼稚園の間はいいかもしれません。でもその子が小学生になって集団生活をするようになったらどうなるでしょう。

 

厳しいことを言うようですが、自分のことを自分でできない子どもはイジメの対象になってしまいがちです。残念ながらそれが子どもの世界なのです。

 

また、何をするにも人に頼ってしまう子どもは、往々にして自己中です。自分のことしか考えられない子どもになってしまいます。

それが原因で自ら他人をいじめる側に回ったり、他人の注目を集めることが好きな子どもになってしまいます。

 

もしその子が他の子に比べ敏感な性格だと、自分が他人の助けなしでは何もできないことに気づいた時、挫折感を味わい傷ついてしまうことになりかねません。

 

このような子どもは集団行動が苦手な場合が多いのです。

 

「私たち大人が教育を通じて子どもたちが自立できるようにしなければならないのです」

 

では私たち大人、特に小学校に進学する前後の子どもを持った親はどうすればいいのでしょうか?

 

1.規律と自由を与える

 

子どもには選択肢を与えます。でも、こちらから強制はしません。限られた選択肢の中から子どもたちがどれを選ぶかは彼らの自由です。

教室の中では自由に動き回ることができます。誰とグループを組むかも子どもたちが自由に決めることができます。子ども一人一人が工作で何を作るかも自由です。日本の学校によく見られる「席決め

のプロセスはくじ引きであったり、先生が予め決めたりしますが、ここでは子どもたちが自由に自分の座る席を選びます。

 

教室の主役はあくまで子どもたちなんです。先生ではありません。

 

子どもたちが選択の自由を与えられたとき、子どもたちは自主性を発揮します。

 

私たちが気を付けなければならないのは、子どもたちに過度に自由を与えてしまうと、自意識過剰な子どもになってしまう恐れがあるということです。

自意識過剰な子どもは友達をつくるのが苦手で、集団行動も苦手な傾向があります。

 

2.自分の力で問題を解決する能力を養う

 

私たちは「高速通信インターネット」の時代を生きています。私たち大人が子どものころはインターネットがなかったか、今ほど発達していませんでした。今の子どもたちは生まれた時からパソコンがあり、スマホがあり、インターネットがある世界を生きています。まさにユビキタス社会。大量の情報にいつでも、どこでもアクセスすることができます。このような世の中で大切だとされるのが「効率」です。いかに効率よく仕事ができるか。いかに効率よく正解を導けるが。私たちはそういう世界に生きているのです。

 

「効率」がすべての今、私たち大人はつい子どもを急かしてしまいがちです。つい子どもに考える時間を与えるのを忘れてしまいます。子どもが壁にぶつかった時、私たちは子どもに「はやくしなさい」とつい言ってしまいます。

 

子どもが何か問題を抱えている時、私たち大人はまず子どもに自分の頭で考える時間を与えるべきです。

 

ちょっと立ち止まる勇気が必要です。そして、子どもの立場になって一緒に考えてあげることです。一歩一歩でいいんです。子どもと一緒になって考えてあげましょう。

 

ここで大事なのが、私たち大人はあくまで子どもたちを手助けする立場にあることを忘れないことです。答えを出すのはあくまでも子どもたち自身です。

大人の手助けを借りながらも自分で答えを見つけることができたとき、子どもたちにちょっとずつ自信が芽生えてくるはずです。

 

ちょっと考えてみましょう。

あなたの子どもが「明日学校に行きたくない」と言い出しました。

こんな時あなたはどうしますか?

 

「もしかしてイジメられてるんじゃないの?」

 

「先生に怒られたの?それとも...」

 

子どもたちを質問攻めにしてしまっていませんか。

 

大人は決めつけるのが好きです。

 

もし本当に子どもが学校で先生に叱られたり、イジメられたりして落ち込んでいる時に、子どもはそれを簡単には打ち明けません。ましてや親がいらぬ気を回しすぎて、子どもの悩みを「先回り」してしまうと、子どもを傷つけてしまうことになりかねません。

 

こういう時は、まず子どもが行ったことを繰り返してあげます。

 

「明日学校に行きたくないの?」

 

もしかすると一時的に疲れていたり、単に甘えたいだけかもしれません。

 

もし本当に学校で何か問題があったのなら、こう聞いてあげましょう。

 

「そうかあ。〇〇君に縄跳びを取られて喧嘩しちゃったかあ。そうだなあ、もし次同じようなことがあったら、喧嘩をする以外にどんな方法があると思う?」

 

もし子どもが自分で答えを出せない時は、少しヒントを与えてみましょう。間違っても、「そういう時はまず話し合うの。分かった?」などと大人が大人の解釈で答えを与えてはいけません。

 

もし子どもが出した答えが私たち大人が考えるものと違った場合はどうすればいいでしょうか。

 

例えば、「そういう時は逃げればいい」という答えを子どもが出したとしましょう。私たち大人は「逃げるのはよくない」と思っています。ここで子どもの判断を全て否定してしまっていいのでしょうか?大人が口で言って聞かせ「逃げる」のをやめさせるべきでしょうか。

 

このような時は、まずは「そうさせてみる」べきではないでしょうか。

 

子どもが「逃げる」という答えをだしたのなら、大人はそれを尊重すべきです。そして、「じゃあ、次に同じことがあったら逃げてみようか」と言ってあげます。子どもに経験させてあげるのです。(もちろん子どもが実際に「逃げる」かどうかは分かりませんが)

この方法で本当に問題を解決することができるかどうか子どもが自分で確かめるのです。

子どもの意見、考えを尊重し、大人は子どもを信用してあげるべきなのです。

 

3.子どもを信用し、制限しない

 

私たち大人は子どものことになるとかなりの心配性になってしまいます。子どものことを心配するあまり、ついつい「まだ起こっていないこと」を注意していまいがちです。

 

例えば、「ほら、そこ濡れてるから危ないよ。転ばないように気を付けて」といった具合に、子どもに身にまだなにも怒っていないのに、大人が先に注意してしまうのです。

 

面白いことに、「転ぶなよ」と言われた子どもに限って本当に転んでしまいます。

 

まだ起こってもいないことをいちいち注意される子どもは結局何もできなくなってしまいます。

 

空港のロビーで走り回っている子どもがいたとします。その子の親はついつい「転ぶと危ないから走るのはやめなさい」と言ってしまいがちです。「走るのをやめなさい」と注意することで、子どもは走るのをやめ、その結果子どもは転ばないかもしれません。

 

でも、その子どもは何か学べたでしょうか?

 

元気に走り回っていました。親に注意されて走るのをやめました。転びませんでした。

 

これのどこに学びがあるのでしょうか?

 

本当の学びというのは、子どもが走り回って、転んでしまって、「転ぶと痛い」ということを自ら体験することです。

 

次の質問です。

 

あなたはあなたの子ども(5歳と仮定しましょう)がカッターナイフを使うのを許可しますか?

 

私たち大人はカッターを上手く使うことができます。でも、子どものこととなるとつい心配性になってしまうのが親です。

 

子どもがカッターで紙を切ろうとしています。あなたは止めますか?それとも続けさせますか?

 

ちょっと考えてみましょう。私たち大人はどうしてカッターが危ないと思うのでしょうか?

 

それは、私たちがカッターは危ないということを身をもって経験したからです。カッターで指を切ってしまった経験があるからこそ、カッターが危ないということを知っているのです。

 

子どもはカッターを使いたがっています。なら使わせてあげましょう。(ただ、物が物なので大人が見守る必要があるかもしれません)その結果子どもは手を切ってしまうかもしれません。カッターで手を切ると血が出て痛いです。でも、そこで「学び」が起きます。大人に教えられるのではなく、自分の身をもって「カッターは危ないもの」だということを学びます。そして、次からはカッターを慎重に使うようになるでしょうし、カッターを使ってふざけることはなくなります。

 

次の問題です。

 

あなたは子どもに「水をコップに注ぐ方法」を教えたいとします。

あなたならどのように教えますか?

 

まずは大人が手本を見せてあげるべきです。正しい水の注ぎ方を大人が手本をもって教えてあげます。

 

本当の問題はここからです。

 

あなたが手本を見せた後、実際に子どもに練習させてみます。

この時、ガラスのコップを使わせますか?

それとも、割れると危ないのでプラスチックのコップを使わせますか?

 

私は必ずガラスのコップを使わせるようにします。

 

割れると危ない?

 

確かにそうです。でも、ちょっと発想をかえてみてください。

ガラスのコップで練習するからこそ、子どもは慎重になります。

コップに水を注ぐ時は大人でも慎重になります。慎重に注がなければ、水がこぼれてしまったり、コップを落として割ってしまうかもしれません。

 

それを教えるのです。

 

コップの一つや二つくらいいいではありませんか。子どもが「学ぶ」ことのほうがよっぽど大切です。

 

食事の際に使うお皿や箸やフォークなども同じです。

 

私は子どもたちに早い段階から大人と同じ物を使わせます。

 

理由はもう分かりますよね。

 

続く

 

続きです。

 

4.他人の気持ちを大切にする

 

子どもたちが集団生活を始めるにあたって、まずしなければならないのは、自分の居場所を見つけることです。自分が居心地がいいと感じられる場所を集団の中で見つけなければなりません。

そのためには友達やクラスメートとの付き合い方を学ぶ必要があります。

 

近年少子化にますます拍車がかかり、以前のように近所の子どもと大勢になって遊んだり、仲のいい友達数人と頻繁に遊びに行く機会は減ってしまいました。以前は子ども同士の関係の中に「小さな社会」があり、子どもたちは自分たちの「小さな社会」の中で他人との付き合い方を学ぶことができました。

 

今の子どもたちは、実際に小学校などの集団生活で初めて「社会とは何か」を学ぶことになります。

 

集団生活では、自分を表現する、待つ、我慢する、順番を守る必要があります。誰も教えてくれませんが、これらは社会生活を送る上で必要不可欠な行為です。しかし、家にいるときは大人が常に子ども中心に考えてくれるため、これらの行為は必要のないものであり、親もわざわざ教えることはしません。

 

それではだめなのです。

 

待つのが嫌い、他人の話を聞くのが嫌い、我慢できない、順番を守れないでは他人とともに社会生活を送ることはできません。そういう子どもはいずれ嫌われてしまい、仲間はずれにされてしまいます。

 

他人の気持ちが分かる、集団の中で他人と協力することができる子どもは皆に好かれ、楽しく健全な集団生活を送ることができるようになります。

 

集団生活の中で自分の居場所を見つけ、そこで自分を表現する。他人の話に耳を傾け、相手を理解しようと努力する。そして、集団の中で自分ができることを見つけ、他人と協力することができる子どもは、まさしく自立した人間になるための道を邁進していると言えます。

 

5.失敗を許し、間違いを受け入れる

 

子どもはどうして失敗を怖がるのでしょうか?

 

様々な原因が考えられますが、大きな原因の一つに「叱られるのを恐れる」が挙げられます。

 

子どもが何かの間違いを犯したとしましょう。そこで頭ごなしに叱ってしまうのはよくありません。叱りっぱなしでは子どもは自分の間違いに気づくことができません。

 

子どもは私たちが思っているより「理屈っぽい」ところがあります。

 

自分がどのような間違いをしてしまったのか分からなければ、反省しないどころか、次もまた同じ間違いを犯してしまいます。

子どもに失敗から何かを学ぶ機会を与えなければいけません。

 

子どもが何か新しいことに挑戦しているとしましょう。なかなか上手くできずもがき苦しんでいます。何回も間違えて、違うやり方を試してみましたが、なかなか上手くできません。

 

そんな時大人が「ほらね。そんなやり方じゃあだめだって言ったでしょう。どうして言う通りにしないの」などと言ってしまっては、子どもの努力を無にしてしまいます。そして、子どもは深く傷つきます。「どうせ自分なんてどれだけ頑張ってもダメだ」といじけてしまい、新しいことに挑戦するのをやめてしまうかもしれません。

 

私たち大人は子どものよきパートナーであるべきです。子どもが失敗をしたとき、私たち大人がすべきは「叱る」ことではありません。子どもたちに寄り添い、一緒に考えてあげたり、ヒントを与えてあげることが重要です。そして、大人は適切なタイミングで「退く」ことが大切です。

 

「私はあなたの味方で、あなたを手伝ってあげますよ。でも、最後までやってあげることはできないの。自分の力でやることが大事なの」 ということを言葉ではなく、経験として教えてあげるのが大切です。子どもたちは経験から最も多くのことを学びます。

 

大事なのは、「子どもたちが自分で気付く」ということなのです。

 

そして、私たち大人も「完璧ではない」ということを肝に銘じなければなりません。

 

大人だって間違うことはあります。いつどんな時も、どんな問題に対しても、100%正しい答えを出せる人なんていません。

 

私たち大人だって間違うのです。

 

しかし、私たち大人は、子どもの頃から様々な経験を通し、数多くのことを学んできました。そして、「修正能力」を身につけたのです。私たち大人は自ら自分の間違いに気づき、そして修正することができます。

 

子どもたちが失敗した時、頭ごなしに叱ったり、批難するのではなく、「修正能力」を身につける手伝いをすべきなのです。

 

自分の間違いを素直に認め、自分で間違いを修正する能力は、「失敗が許される」環境にいて初めて育ちます。

 

 

6.子どもにやらせてみる

 

自立した子どもに育てるためには、子どもにやらせてみることが大切です。

実際に自分でやったことは経験になります。子どもたちは実際の経験の中から様々なことを学びます。

 

例えば、皿洗い。親が皿洗いをしているのを見て、子どもが皿洗いに興味を示しました。

 

是非やらせてみてください。皿洗いを実際に経験することで、「皿を落とすと割れてしまう」、「洗った後は拭かなければならない」など、経験からしか得られない知識を学びます。

 

子どもと一緒に焼き肉を食べに行きました。子どもが自分で肉をやきたいと言っています。

 

是非やらせてみてください。「火に近づくと熱い」、「火は危ない」、「焼きすぎると焦げてしまう」etc...どれも経験からしか得られない知識です。

 

「危ないから」、「あなたはまだ小さいから」と理由をつけて子どもに「させない」のは簡単です。しかしそれは子どもから「学び」の機会を奪ってしまうことになります。

 

何でも自分でできる子どもに育てたいと思ったら、何でも子どもにやらせてみることが重要です。

 

7.子どもとの上手な付き合い方

 

幼稚園の先生は、子どもが食事をする姿を見るだけで、家庭での教育が分かってしまうそうです。

 

「自分で食べることができるか」、「散らかさずきれいに食べることができるか」、「残さず食べることができるか」、「静かに席に座って食べることができるか」を見れば、家庭における教育の程度を知ることができてしまうのです。

 

いつまでも食事を手伝っていませんか?

子どもが食べ残しをするのを見逃していませんか?

食事中テレビばかり見ている子どもをちゃんと叱っていますか?

正しい箸やフォークの持ち方を教えていますか?

 

ついつい子どもを甘やかしていませんか?

 

甘やかすのは簡単です。

 

でも、「甘やかすこと=優しい」ではありません。

 

Help me do it by myself.

 

大人は子どもたちのよきパートナーであるべきです。

子どもたちが安心して様々なことに挑戦できる環境を作ってあげましょう。

子どもたちが困っていたら助けの手を差し伸べてあげましょう。

 

でも、助けるのは最初だけ。もしくは、ヒントを与えて後は子どもにやらせてあげる。

 

これが自立した子どもに育てるための秘訣です。