夜光虫

馳星周さんの『夜光虫』

 

出版されたのは2001年だそうです。

 

僕は中学生のころ馳星周さんの著作にはまっていました。

 

この『夜光虫』は父親が持っていて、それを借りて読みました。

 

その頃の僕は台湾がどこにあるかさえ知りませんでした。

 

この本がきっかけで台湾に興味を持ち、自分なりに調べてみました。

 

クラスの同級生に台湾から引っ越してきた日本人の友人がいて、その友人に台湾のことをいろいろ聞きました。

 

その友人は「台湾は不便なところもあるけど、人は優しい。台湾人は皆日本のアニメ見たり、日本のゲームしてるから、ほとんどの台湾人が日本のこと好きだと思う」と言っていました。

 

当時は「親日」なんて言葉を知らなかったので、漠然と「日本と台湾は仲良いんだな」と思っていました。

 

高校のクラスメートにも台湾人の女子がいました。

 

彼女は正真正銘の台湾人で、両親ともに台湾の台中出身。14歳まで台中で暮らしていて、父親の仕事の関係で、中三の時日本に来たので、日本語はあまり話せませんでした。

 

でも、彼女は美人だったので、すぐに友達ができ、男子生徒とも仲良くしていました。

 

僕は、グループが違ったというか、とにかくあまり接点がなかったので、同じクラスだった2年間で言葉を交わしたのは恐らく2,3回だったと思います。

 

僕の家の近所にも台湾のおばさんが住んでいました。

 

そのおばさんは日本人の旦那さんと台湾で結婚して何年か後に日本に移住してきたそうです。

 

そのおばさんと僕の母が仲良しだったので、僕も間接的にではありますが、そのおばさんのことを知っていました。

 

僕が中学生の頃一回おばさんが庭でバーベキューをやっていて、僕を招待してくれたことがありました。

 

台湾人はバーベキューをする時、網の上で焼かれている肉の上に直接焼肉のタレをつけるそうで、それが新鮮でした。そして、そのタレも日本のものとは違って、独特な味がしたのを覚えています。

 

その僕と意外に身近な存在だった台湾ですが、僕は興味がなかったのか台湾の位置さえ知りませんでした。

 

『夜光虫』を読んで、中学生の僕は「台湾って怖そうな場所だな」と思いました。

 

まあ、今考えれば、本の中に書かれているようなことはそうそう起こることではないと分かるのですが、中学生の僕は台湾のアンダーグラウンドな世界に恐怖を覚えました。

 

そして、日本の闇の世界はどうなっているのかにも興味を抱きました。

 

その後馳星周さんの『不夜城』や『漂流街』も読みました。

 

「馳さんもしかして昔危ないことしていたんじゃないかな」と思わせるほどリアルなんですよね。

 

李小牧さんの本もリアルですが、あの人は本当に歌舞伎町に深く関わっているので、当然といえば当然ですが。

 

なんで普通の人が知りえないことをあそこまでリアルに書けるんですかね?