ありえないほど暴力的
男はみんなアクション映画が好きだ。僕は基本的に日本にはアクション映画はないと思っている。
いいアクション映画はみんなハリウッドの作品に決まっている。
北野武さんの座頭市なんかはかなり暴力的でいいなあと思っていたが、あの作品をアクション映画の括りに入れられるかどうか。
勝手に尊敬している北野武さんの作品をあれこれ言う資格は僕にはない。
僕が言いたいのは、他の日本映画も北野武さんの作品、例えば座頭市、たとえばブラザー、たとえばアウトレイジのように暴力満載の作品なら見る価値はあると思うのだけど。
子どもの頃はスティーブンセガールやシルベスタ・スタローンなど世界に名だたるアクションスターの映画ばかりを見ていた。
スティーブンセガールの映画は両親から見てはいけないと言われていた。
多分、セガール作品には汚い言葉がたくさん出てくるからだ。
セガールさんも昔は物凄い殺し方をしていた。誰でもかんでも容赦なく殴りつけ、じっくりいたぶってから殺していた。でも今は何だか殺し方に遠慮が出てきた感じがする。
僕たち男がアクション映画を好むのには必ず理由があると思う。
僕がアクション映画を好んで見るのにだってちゃんとした理由がある。
なぜなら、アクション映画は非日常的だから。
僕たちの日常生活の中で、戦争は起こらないし、正体不明の悪者がいきなり拳銃を向けてくることもない。訳の分からない不良グループに因縁をつけられることもないし、飛行機ハイジャック事件の現場に居合わす確率も限りなくゼロに近い。
だいたい理由はなんであろと人を殴ったり、切ったり、刺したり、撃ったりして傷つけるのはよくないことだ。もし現実の世界で人を傷つけたら警察のお世話になってしまう。
でも、僕たち男は暴力に対して多かれ少なかれ憧れを抱いている。たまにぱぁーっと喧嘩でもして誰かを痛めつけてやりたくもなる。車を運転していると急にハンドルを切って反対車線の車にぶつけたくもなる。でも現実世界ではできない。やってはいけないとルールで決められている。
それを体現してくれるのがアクション映画だ。まあ、正確に言うと、アクション映画も僕たちの憧れを実際に体現しているわけではない。映画撮影で本当に殴り合っていたら、映画俳優なんて職業はとっくの昔に絶滅していたはずだ。
ウソってことは分かってる。それでもいい。興奮できればいいんだ。血が騒げばいいんだ。
アクション映画はありえないほど、これでもかってくらい暴力的なほうがいい。